- じゃがいもの芽かきが必要と言われる理由
- 市民農園で比較した実際の収穫結果から読み取れたこと
- 来年の栽培で意識したい「芽かき以外」のポイント
「芽かきをすると、大きなじゃがいもができる。」
家庭菜園では、よく聞く話です。
一方で、「芽かきをしなくてもたくさん採れた」という声もあります。
結局、自分の畑ではどうすればいいの?
そう迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。
以前公開した「キタアカリの花が咲かない」では、花と収穫の関係を紹介しました。
今回はその続編です。
実際の収穫結果をもとに、「芽かきは本当に必要なのか」を振り返ります。
結論から言うと、今年の栽培では、芽かきだけで収量は決まりませんでした。
むしろ印象に残ったのは、葉がどれだけ長く元気に働けたかでした。
さらに品種の違いや、その年の気候も大きく影響していたように感じています。
芽かきが必要と言われる理由
芽かきは、茎の本数を調整するための作業です。
茎が多いと養分が分散し、小さなイモが増えやすいと言われています。
逆に茎を減らせば、一つ一つのイモが大きく育ちやすいという考え方です。
例えるなら、一つのケーキを何人かで分けるかのようなものです。
人数が少なければ、一人分は多くなります。
だから芽かきには意味があります。
ただ、実際の畑では、それだけで収穫が決まるわけではありません。
品種や天候、葉の状態など、いくつもの条件が重なります。
今年は市民農園で実際に比べてみました
今年は農園で育てたキタアカリを中心に観察しました。
芽かきの有無だけではなく、
- 茎数
- 収穫できたイモの数
- イモの大きさ
- 葉の状態
- 生育期間
も記録しています。
数字だけではなく、「そこから何が読み取れるか」を大切にしました。

市民農園で収穫したキタアカリを株ごと(A〜E)に並べました。A・Bは芽かきを行い、最後まで葉が元気だった株です。写真に写っていない2株は葉が早く枯れたため先に収穫しました。
| 株 | 芽かき | 葉の状態 | 収穫量の印象 |
|---|---|---|---|
| 写真外① | ○ | 先に枯れた | 少ない |
| A | ○ | 最後まで元気 | 多い |
| B | ○ | 最後まで元気 | 多い |
| C | × | 普通 | 普通 |
| D | × | 普通 | 普通 |
| E | × | 先に枯れた | 少なめ |
| 写真外② | × | 先に枯れた | 少ない |
※写真外の2株は、葉が早く枯れたため先に収穫しました。
芽かきだけでは収量差を説明できませんでした
今年の市民農園では、芽かきの有無による明確な大きさや収量の差は確認できませんでした。
もちろん株ごとの差はあります。
しかし、その違いを芽かきだけで説明するのは難しいと感じました。
毎年、「芽かきは必要?」といろんな人から聞かれます。
私は小さいイモも好きなのであまり芽欠きを気にしていませんでしたが、そんなに聞かれるなら検証してみようと思いました。
今年の結果を見ると、芽かきは収量を左右する要素の一つではあっても、それだけでは説明できませんでした。
収量が多かった株は葉が最後まで元気でした
今年、一番印象に残ったのは葉の状態です。
収量が多かった株は、最後まで葉が青く元気でした。
葉は光合成をして、イモへ養分を送り続ける工場のような存在です。
葉が長く元気なら、その分だけイモも育ちやすくなります。
逆に葉の勢いが早く落ちた株は、収穫量も少ない傾向がありました。
もちろん、これだけで断定はできません。
それでも今年は、芽数よりも葉がいつまで元気だったかの方が印象に残りました。

葉の色や勢いには株ごとの差が見られました。最後まで濃い緑を保つ株もあれば、下葉から黄変が始まる株もありました。
では、なぜ葉の勢いに差が出たのでしょうか
今年の気象を振り返ると、一つ気になることがありました。
気象庁によると、2026年5月の日本の平均気温は平年より約1.4℃高く、統計開始(1898年)以来、5月として2番目の高温となりました。
全国的に季節外れの暑さとなり、東日本でも平年より気温の高い日が続きました。
ちょうどその頃、市民農園のキタアカリでは下葉の黄変が少しずつ目立ち始めました。
もちろん、高温だけが原因とは言えません。
それでも今年は、気温が急に上がる前にどれだけ葉を育てられたかが、その後の収穫に影響した可能性があるのではないかと感じています。
じゃがいもの地上部がよく育つ適温は、およそ15〜20℃と言われています。
一方で、イモが肥大しやすい地温は15〜18℃程度です。
気温が25℃を超えるようになると、生育が鈍ることがあります。
さらに今年の6月は雨の日が多く、日照時間も限られました。
葉が十分に光合成できる期間は、例年より短かった可能性があります。
キタアカリでは暑さの影響が目立ったように感じました
今年はいくつかの圃場のじゃがいもも観察していました。
その中で印象的だったのは、キタアカリでは5月の暑さのあとから葉が黄変する株が目立ち始めたことです。
一方で、男爵やアンデスレッドでは、その変化はそれほど強く感じませんでした。
もちろん、畑の条件や管理方法は異なります。
暑さだけが原因とは言えません。
それでも今年は、キタアカリは高温の影響を受けやすかった可能性があるのではないかと感じました。
品種が違えば、生育の特徴も変わります。
だからこそ、「他の人はこうだった」ではなく、自分の畑で品種ごとの違いを見ていくことも大切なのだと思います。
別圃場では芽かきをしなくても大きなイモが多く収穫できました
参考までに、別圃場で育てた結果も紹介します。
こちらも芽かきは行っていません。
ただし、市民農園とは条件が異なるため、単純な比較はできません。
植え付け時期や高畝、黒マルチなど、栽培条件が違っています。
春先は黒マルチで地温を確保し、市民農園よりも2週間早めに植え付けました。
市民農園より1週間ほど早めに掘りましたが、大きなイモが多く収穫できました。
一方で、小さなイモもありました。
イモの数は、市民農園とそれほど変わらない印象です。
違ったのは数ではなく、大きさでした。
大きなイモが、さらにひと回り大きく育ったように感じました。
芽かきよりも「いつ葉を育てるか」が大切だったのかもしれません
今年の結果を振り返っていて、一つ感じたことがあります。
それは、芽かきよりも、高温になる前にどれだけ葉を育てられたかが大切だったのではないか、ということです。
別圃場では、春先から黒マルチで地温を確保し、早めに植え付けました。
地温が上がることで発芽が早まり、地上部の生育も順調に進みました。
今年は5月に気温が一気に上がりました。
もし、その前に十分な葉を育てられていたなら、光合成をする期間を長く確保できたのかもしれません。
葉は、イモへ養分を送り続ける工場のような存在です。
工場が早く動き始めれば、その分だけイモも育ちやすくなります。
さらに葉が茂ると、畝の表面に日陰ができます。
土へ直接日差しが当たりにくくなるため、地温の上昇もある程度抑えられる可能性があります。
もちろん、これは今年の観察から考えた一つの仮説です。
地域や土質、その年の気候によって結果は変わるでしょう。
それでも今年は、芽かきだけでは説明できない差がありました。
この畑では「芽かきだけで決まらない」と感じました
芽かきには、茎数を調整する役割があります。
その意味はあると思います。
しかし今年の栽培では、それ以上に影響が大きかったように感じたものがありました。
- 品種の特性
- 植え付け時期
- 春先の初期生育
- 葉がどれだけ長く元気だったか
- 5月の高温と6月の天候
どれか一つではなく、いくつもの条件が重なって収穫につながったように思います。
「芽かきをすれば大玉になる」「芽かきは不要」と二択で考えるより、自分の畑の条件を見ながら判断することが大切なのではないでしょうか。
来年もっと収穫したいなら、芽かきだけではなく畑全体を見直してみる
今年の結果から考えると、来年改善したいポイントも見えてきました。
芽かきをするかどうかだけではなく、
- 植え付け時期は適切だったか
- 春先の地温を確保できたか
- 高温になる前に十分な葉を育てられたか
- 葉が最後まで元気に働けたか
そんな視点で振り返って、来年の栽培計画に役立てようかと思います。
食卓まで考えると、小さいじゃがいもにも役割があります
今年も、色々なサイズのイモが採れました。
でも、家庭で食べるなら、大きさがそろっていなくても困ることはほとんどありません。
我が家では、小さめのじゃがいもは皮つきのまま素揚げして、塩を振って食べるのが定番です。
収穫したては皮もやわらかく、外は香ばしく、中はほくほくになります。
もう一つの定番は、皮つきのまま素揚げしたじゃがいもを、ひき肉と一緒に甘辛く煮込むそぼろ煮です。
家族も毎年、「そろそろじゃがいもかな」と収穫を楽しみにしています。
ただし、小さいイモなら何でも食べられるわけではありません。
未熟イモや緑化したイモには、天然毒素(ソラニン・チャコニン)が多く含まれることがあり、食中毒の原因になるおそれがあります。
我が家では、500円玉より小さいくらいのイモは一つの目安として食べずに処分しています。
もちろん、大きさだけで判断できるものではありません。
小さすぎる未熟イモや緑化したイモは、無理に食べないようにしましょう。
収穫したじゃがいもを、安全に、おいしく食べ切るところまでが楽しみです。
まとめ
- 今年の市民農園では、芽かきだけで収量差は説明できなかった
- 品種や初期生育、葉の寿命、気候など複数の条件が重なって収穫につながったと感じた
- 来年は芽かきだけでなく、植え付け時期や初期生育も含めて検証していきたい
今年の栽培では、うまくいったこともあれば、思うようにいかなかったこともありました。
だからこそ、来年につながるヒントも見えてきました。
品種の特性や、その年の気候も含めて振り返ることで、自分の畑に合った育て方が少しずつ見えてくるのだと思います。
来年も条件をできるだけそろえながら、「なぜこの結果になったのか」を一つずつ確かめていきたいと思います。
今回の記事は、「キタアカリの花が咲かない」の続編として収穫結果をまとめたものです。
花と収穫の関係から読みたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。




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